徒然なるままに日暮し

はてなダイアリーからの移行です

マンガ小説特撮ゲーム。写真と着物。

津軽塗の二枚歯下駄。


最近着物を着て出掛けるようになったんですよーと、相方の義母上に話したところ、昔履いてた?もらった?津軽塗の下駄があるけど履く?と連絡をもらいました。
二枚歯は持っていないし是非!と返信してしばし、先週半ばに届いたのがこの下駄です。
津軽塗……そう言えば相方の家には、この不思議な模様の茶筒や箸が沢山あったなぁ。
ウキョウは現代っ子らしく、馬鹿の大足なのですが(笑)、義母上が小さい人と言うのもあって、下駄は普通サイズで大体22cm位でした。
台の長さはともかくとして、鼻緒……履けるかしら?と思って居間でいざ履いてみたところ、指がほとんど入らない!
ううむ、義母上は履けなかったら捨てて良いわよーと仰っていたけれど、塗ってことは良いものですよね……?
調べてみたところ、津軽塗はバカ塗とも言うらしいです。
何度も漆を塗っては削って、を繰り返してバカ丁寧に作るからだそうです(笑)。そんな身も蓋もない……
下駄の鼻緒なら自分でも調整出来るようですが、プロにやってもらえるならそれが一番!と思って、早速ネットで検索です。
見つけたのがこちら、丸屋履物店さん。
下駄の履き方レクチャーもしてもらえる!と言うことで、ウキウキと行って参りました。
だるまさんこと京急の赤い車両に乗り込み、川崎から品川方面へ。
北口改札を出た頃には日もとっぷり暮れており、ひとりだったらだいぶ心細いだろうなぁ(最初は仕事帰りにひとりで寄ろうかと思っていたのです)と思いつつ、相方と二人、てくてくと参道らしき道を歩きます。
途中の小道を曲がり……暗いわー不思議だわーと言いながら少し大きな通りに出ると、やっぱりここも参道みたい??不思議だわー。
すぐに左手に丸屋さんが見えました。
覗くと奥に男性が二人。


ウキョウ「すみません、下駄の鼻緒の調整ってしてもらえますか?」
息子さん「やってますよ〜どうぞ〜」
ご主人「今日は持ってますか?」
ウキョウ「はい、持ってきました」
ご主人「どれ」
ウキョウ「(取りだしつつ)旦那のお義母さんから頂いたんですけど」
ご主人「あーこれは良いものだ」
息子さん「津軽塗ですね〜」
ウキョウ「はい、足が大きいのと鼻緒がきついのか小さいのかで、入らなくて」
ご主人「全部履かなくて良いんですよ、突っかけるだけで。どれ」


言いながら、鼻緒を引っ張りつつ調子を見て、前つぼの裏にある金具をひょいひょいと外していくご主人。
息子さんの方は少々手間取りながらもなんとか外れました。


ご主人「足いくつ?」
ウキョウ「(足のサイズかな)24位……です24.5とか」
ご主人「あなたの歩き方だと下駄で歩けないから、出来たら練習して行きなさい」
ウキョウ・相方「!!!」
息子さん「鼻緒どうします?すげ替えますか?調整だけ?」
ご主人「もらい物なら一度位それで履いておかなきゃ何か言われるでしょう」
ウキョウ「やっぱり鼻緒違いますか?」
息子さん「現代物は太くて痛くなり難いですよ」
ご主人「これは昔のものだから、細い鼻緒で痛いかもしれないけど、調整すればイケるんじゃないかな」
ウキョウ「うーん」
ご主人「調整して履いて見せて、切れちゃいましたって言って替えりゃ良いですよ」


そうこうする間に調整完了。


ご主人「出来ました。履いてみてください」
ウキョウ「おおー。足袋靴下履いてきたので履いてみます」
相方「(わざわざ足袋ックス履いてきたのか)」
ウキョウ「……入る!痛くない!!」
息子さん「こちらも履いてみてください」
ご主人「両方履けたら歩いてね。あなたの歩き方じゃ下駄がかわいそうです」
ウキョウ「おおお、両方入ります!痛くないです!!」
息子さん「じゃぁ僕の後について歩いてください。両方の歯で着地して、前に傾けて蹴る……」
ウキョウ「よいしょ(てくてく)」
ご主人「ダメダメ。そんなんじゃ歯がダメになります。前歯に体重載せて」
息子さん「足の前の方に体重乗せる感じで着地して、蹴るんです」
ウキョウ「そうか、大股じゃいけないんだった」
息子さん「そうそう、そんな感じ」
ウキョウ・相方「おお……!」



お店中から表まで出て、またお店の中へ。
2周位する頃には無事二枚歯下駄で歩けるようになっていました!
凄い!
前金具は、昔は泥避けとしてあったけど、今はアスファルトに当たると滑って危ないので付けていない、と言うことで、そのまま付けないことに。
鼻緒の調整代としてお代は1000円でした。
ネットで下駄の鼻緒調整してもらえるところを探して見つけて来たんです、とお伝えしたところ、大層喜んで頂けました(笑)。
新しい台や鼻緒もありますし、目の前で調整してすげてもらえるのは、とても面白かったです。
是非また来ます!!と宣言して、お店を後にしました。
いつか履きたい、畳表の下駄……!


今回、面白かったのは、サイズを聞かれただけで、最初に下駄を履かされなかったこと。
てっきり最初にどのくらいキツイか見るんだと思っていました。
後、歩いて来ただけで「歩き方」を察知されたのも面白かったです。
スリムパンツにウェスタンブーツ風長靴を履いていたので、大股でがっぽがっぽ歩いていたんですね。
お店の前から中に入るほんの数歩で、下駄履きに向かない歩き方と察知されたのが衝撃的でした。
本物って凄いですね……!